2022.04.25

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高齢者の食事に関する注意点!作り方や食事介助のポイントを解説

高齢者の食事に関する注意点!作り方や食事介助のポイントを解説

身体機能が低下している高齢者の食事には、細心の注意が必要です。健康な状態でいてもらうためには「食事作り」と「食事介助」の2つの場面で気を付けるポイントがあります。

この記事では、高齢者の食事に注意が必要な理由、食事作りの注意点、食事介助の注意点について紹介します。これから介護が必要になる方も、今まさに介護中の方もぜひ最後まで目を通して、日々の食事に役に立ててくださいね。

1.高齢者の食事に注意が必要な理由とは?

まずは高齢者の食事に注意しなければならない理由について見ていきましょう。

誤嚥のリスクがある

高齢者は歯の欠損やあご周辺の筋力低下、唾液の分泌量の減少といった点から、誤嚥のリスクが高まります。

通常、口に入れた食べ物は、飲み込みやすいように歯で噛み砕きながら唾液と混ざり合い、食塊という柔らかいまとまりを形成します。しかし、歯の本数減少やあごの筋肉の衰えにより咀嚼機能が低下したり、唾液の分泌が減って食塊をうまく形成できなくなったりすると食べ物が気管に入りやすくなります。

誤嚥は肺炎につながる可能性もあるため注意が必要です。

栄養バランスが偏りやすい

高齢者は味覚や咀嚼・嚥下機能の低下により栄養バランスが偏りやすい状態にあるといえます。

たとえば、加齢により味蕾(みらい)という味を感じる舌の細胞が減ることで味覚が低下すると、塩気のある濃い味を好むようになります。しかし、塩分の摂りすぎは高血圧や腎不全などのリスクを高める可能性があります。

また、咀嚼・嚥下能力が低下すると、柔らかい食べ物を好むようになるため、硬い食べ物や繊維質が多い食べ物を避けてしまいがちです。すると、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維が不足し、低栄養や便秘などの不調をきたす場合があります。

ほかにも、食事中の姿勢維持や噛む動作に疲れてしまい、十分な量を食べられなくなることで栄養不足に陥るケースもめずらしくありません。

高齢者の低栄養についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

高齢者に低栄養が多いのはなぜ?原因と対策方法やレシピも紹介

2.高齢者の食事を作る際の注意点

高齢者の誤嚥や低栄養を防ぐための、食事作りに関する注意点を紹介します。

食べやすいように調理する

高齢者が食べやすいよう、調理方法を工夫することが大切です。たとえば、食材を小さく切る、とろみをつける、柔らかくなるまで煮るといった方法があります。このような工夫により、口の中で食べ物がまとまりやすくなったり、のどごしがよくなったりして、誤嚥を防ぐことにつながります。

介護食の詳しい作り方は、こちらの記事が参考になるでしょう。

【介護食の作り方】簡単に作れる介護食を区分別に紹介

不足しがちな栄養を取り入れる

不足しがちな栄養素を取り入れる工夫も必要です。高齢者の食事の好みや摂食能力によって異なりますが、一般的に「たんぱく質」「ビタミン類」「ミネラル」「食物繊維」が不足しがちです。これらの栄養を取り込める食材を使用したり、間食や市販の栄養食品を取り入れたりしましょう。

また、濃い味を好む方やインスタント食品をひんぱんに利用する方は、塩分過多になりがちです。その場合は、薄味でもおいしく食べられる「減塩調理」の工夫がおすすめです。

減塩調理の方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

塩分の取りすぎが気になったら?減塩調理や排出方法を知っておこう!

食事にプレッシャーを感じさせない出し方をする

運動量の減少や身体機能の低下により、あまり食欲がない高齢者も多いため、食事にプレッシャーを感じさせないことも必要です。食べきれるか分からないほどの料理が並んでいると余計に食欲を感じにくくなってしまうので、品数を少なくする、少量ずつ盛りつけるといった工夫をしてみましょう。

また、決まった食事のタイミングにこだわらず、お腹を空かせたときに用意したり、親しい人との食事会を開いたりすることで食欲が戻る場合もあります。

高齢者の食欲を刺激するポイントを知りたい方は、こちらの記事をチェックしましょう。

高齢者の食事が進まない原因とは?食べないときの対策も紹介

3.高齢者の食事介助での注意点

つぎに、高齢者の食事介助での注意点を見ていきましょう。

正しい姿勢で食事をとらせる

正しい姿勢で食事をとらせることは、誤嚥防止につながります。椅子に座って食べられる場合は深く腰掛け、上半身が90度になる姿勢がベストです。

ベッドで食べる場合はリクライニングを30~60度にし、頭の下にクッションを置きましょう。顎を引いた姿勢をとることで、飲み込んだ食べ物が気管に入りにくくなります。

急かさずゆっくり食べさせる

食事を急かすとペースが乱れ誤嚥を起こしやすくなるため、高齢者のペースにあわせましょう。また、1回で口に入れる量が多すぎると誤嚥しやすくなるので、介助用スプーン(あるいはティースプーン)に軽く1杯くらいを目安に食べさせるようにします。

食事を口に運ぶ際は、なるべく口の手前に入れて、きちんと飲み込んだか確認してから、次を与えましょう。

食前食後は口腔ケアを行う

食前食後にうがいや歯磨きをして、口腔内を清潔にしておくことも大切です。口腔内が汚れていると、唾液や食べ物と一緒に細菌が気管に入り、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。寝たきりで歯磨きが難しい場合は、濡らしたスポンジやガーゼで口の中を丁寧に拭いてあげましょう。

食後はすぐ寝かせない

食後すぐに寝かせるのはおすすめできません。口の中に食べ物が残っていると、のどに詰まって窒息する可能性があります。また、食べたものが胃や食道から逆流する場合もあるため、食後30分から1時間は体を起こしておくのがおすすめです。

4.まとめ

高齢者は身体機能の低下により誤嚥や栄養バランスの偏りを起こしやすいため、食事の用意や食べさせ方には注意が必要です。

誤嚥を防ぐために、なるべく飲み込みやすいように食材を小さく切ったり、とろみをつけたりする方法があります。また、不足がちな栄養素を取り入れ、プレッシャーを感じさせないように少量ずつ盛り付けるといった配慮も行いましょう。

食事介助の際は、誤嚥を防ぐために椅子に座らせるかベッドで上体を起こした姿勢を保持し、少しずつ口に運んであげるのがポイントです。食前食後は口腔ケアを必ず行い、食後30分から1時間は横にならないように気を配りましょう。

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