2022.05.27

介護食

介護食にとろみをつける方法や種類とは?とろみ剤の使い方も解説

介護食にとろみをつける方法や種類とは?とろみ剤の使い方も解説

とろみのついた介護食は程よく食材がまとまっているので飲み込みやすく、嚥下障害のかたに最適な食事です。

しかし、家庭で作るとなった場合、どうやってとろみをつけたらいいのかわからない、ということもあるでしょう。また、とろみの濃度がイメージしにくく、とろみづけに自信がないというかたもいるのではないでしょうか。

そこで今回は、介護食にとろみをつける方法やとろみの種類、とろみ剤の使い方について紹介します。

1.介護食のとろみの濃度は3種類ある

介護食のとろみづけは、「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」に基づき、「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階に分類されます。

各とろみの特徴について詳しく説明します。

①薄いとろみ

薄いとろみは、主に軽度の嚥下障害の方に用いられます。とろみがついていることがあまり気にならない程度の濃度で、スプーンを傾けるとスッと流れる、いわばポタージュスープくらいのとろみをイメージするとよいでしょう。薄いとろみは、ストローでも簡単に吸える程度なので、飲み込みも容易です。

とろみの目安:ポタージュスープ

とろみ剤の目安:100mlに小さじ1杯程度のとろみ剤

②中間のとろみ

中間のとろみは、脳卒中後の嚥下障害などでまず試されるとろみです。とろみがついていることが明らかに感じられる濃度で、スプーンを傾けるととろっと流れ落ちる、とんかつソースくらいのとろみが理想です。中間のとろみは、ストローで吸うとやや抵抗があります。

とろみの目安:とんかつソース

とろみ剤の目安:100mlに小さじ1杯半程度のとろみ剤

③濃いとろみ

濃いとろみは、重度の嚥下障害の方に用いられることが多いのが特徴です。ケチャップのようにドロッとしているので、とろみがついていることが明らかに分かります。スプーンを傾けても流れにくく、形状がある程度保たれます。ストローで吸うのは難しい程度の粘度です。

とろみの目安:ケチャップ

とろみ剤の目安:100mlに小さじ2杯程度のとろみ剤

以上が介護食のとろみの種類です。嚥下能力によって適切なとろみの濃度は異なるので、医師や歯科医師、言語聴覚士、管理栄養士と相談し、指導を受けましょう。

2.とろみ剤の使い方と注意点

食べ物や飲み物にとろみをつけるには、とろみ剤を活用すると簡単です。ここでは、とろみ剤の使い方と注意点を説明します。

とろみ剤の加え方

市販のとろみ剤の多くは、水分量に対し約1~2%を加えることで、適度なとろみがつくよう設計されています。飲み物や汁物などを器に入れ、その量の1~2%を目安にとろみ剤を加えましょう。

とろみ剤を入れたらスプーンや小さい泡立て器などでよく混ぜ、2~3分程度経つととろみがつきます。とろみ剤の量は、事前に医療関係者に相談しておくことをおすすめします。

とろみ剤を加える際の注意点

とろみ剤を加えた飲食物は、時間経過とともにとろみが強くなりやすい点に注意しましょう。とろみが強すぎると粘度が増して口やのどに張り付きやすくなり、むせる原因になってしまいます。

また、とろみ剤を加える際に様子を見ながらゆっくり入れたり、とろみ剤を途中で追加したりするとダマができやすくなります。そのため、とろみづけに失敗した際は調整せず、作り直すのが一般的です。ただし、なかには再調整できるとろみ剤もあるので、調整が不慣れな人におすすめです。

3.食材を用いてとろみをつける方法

とろみ剤を切らしてしまった場合は、食材を用いてとろみをつける方法もあります。ここでは、主な3つの方法を紹介します。

片栗粉

片栗粉を水で溶き、料理に加えて加熱することで、とろみがつきます。お手軽なうえに、料理の味を変えにくい方法です。

ただし、作り方によってはダマができやすいうえに、唾液の酵素によってデンプンが分解されるため、とろみが消えやすい点はデメリットといえます。

ゼラチン

ゼラチンを使うと、料理をゼリー状に固められます。また、つるっとした喉ごしもあるので、食材を飲み込みやすくなるでしょう。

一般的に、加熱をして一旦溶かしたあと、冷凍庫に入れて冷やし固めるので、手間がかかる方法です。また、体温で溶ける性質があり、長く口に含んでいると液体に戻ることがあります。誤嚥の原因となるので、食べ物の送り込みに時間がかかる方にはおすすめできません。

マヨネーズ

マヨネーズで食材を和えると、まとまりがよくなります。ただし、お茶や汁物など水分には使えず、カロリーも高くなるのがデメリットです。肥満傾向でカロリー調整が必要な方には不向きな方法といえるでしょう。

4.とろみのついた介護食の宅配弁当もおすすめ

とろみのついた介護食を手軽に用意するなら宅配弁当もおすすめです。

とろみ食の調理は普段の料理と比べて、食事を細かく刻んだり、とろみを調整したりと工程が多いため、十分な時間を確保する必要があります。調理の余裕がないときに備えて、とろみのついた冷凍の介護食をストックしておくと安心です。

また、管理栄養士が献立を作成していることが多いので、栄養バランスに優れている点も大きなメリットです。

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5.まとめ

介護食におけるとろみの区分は「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階です。嚥下障害の程度に合わせてとろみの調整が必要となるため、とろみづけの程度については医療関係者に相談することをおすすめします。

食材にとろみをつける場合はとろみ剤を加えることが一般的です。料理を加えるだけなので手軽に使用できる一方、適切に使用しないとかえって飲み込みにくくなってしまう点には気を付ける必要があります。

とろみ剤がない場合は片栗粉やゼラチン、マヨネーズでもとろみをつけられますが、準備に手間がかかったり口の中でとろみが消えやすかったりするデメリットもあります。調理の余裕がないときのために、とろみのついた介護食の宅配弁当をストックしておくのもおすすめです。

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