2021.11.19

健康食

カリウムの摂りすぎを防ごう!適切な摂取量や制限時のポイントを解説

カリウムの摂りすぎを防ごう!適切な摂取量や制限時のポイントを解説

カリウムには、細胞の浸透圧を維持・調整し、体内の余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があります。高血圧予防に役立つ栄養素ですが、摂りすぎによる健康への影響も実は存在します。

特に、腎機能が低下している方は注意が必要です。

身近な食材にはカリウムが豊富に含まれているため、避けたほうがよい食材を把握し、なるべく摂取量を減らす工夫が健康リスクを避けるポイントです。

そこで今回は、カリウムの摂りすぎが体に及ぼす影響と、適切な摂取量や過剰摂取を防ぐ方法について解説していきます。

1.カリウムの摂りすぎが起こすリスクとは

カリウムを多く含む食品やサプリメントの過剰摂取により、血中のカリウム濃度が5.5mEq/L以上になると「高カリウム血症」になる可能性があります。

高カリウム血症の主な症状は胃のむかつき(悪心)や嘔吐などの胃腸症状、しびれ、筋力低下などで、重症化すると不整脈や心停止を起こす場合もあります。

普段の食生活で高カリウム血症になることはほとんどないといわれていますが、特に腎機能が低下している方は、カリウムの排出機能低下により高カリウム血症になりやすいため注意が必要です。

 

2.カリウムの摂取目安と摂りすぎに注意したい食材

高カリウム血症にならないために、カリウムの適切な摂取目安量と、食べ過ぎに気を付けたいカリウムが豊富な食材をご紹介します。

カリウムの摂取目安

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、カリウムの摂取目安量は成人男性で2,500mg/日、成人女性で2,000mg/日です。ただし、腎機能が正常でカリウムのサプリメントや薬剤を服用していなければ過剰摂取になるリスクは低いため、過剰摂取を防ぐための耐容上限量は定められていません。

一方、高カリウム血症が認められている場合、1,500mg/日以下になるようカリウム制限を行い、血中のカリウム濃度を正常範囲である3.5~5.0mEq/Lに戻す必要があります。

カリウムを豊富に含む食材

カリウムは野菜類、果物類、海藻類に多く含まれています。特に、切り干し大根やドライトマトなどの干し野菜やドライフルーツ、海苔などの乾燥した海藻類は、水分が抜けた分、カリウム値が非常に多くなっているため注意が必要です。

また、食品に含まれるたんぱく質量とカリウム量は比例するため、高たんぱくな肉や魚なども気を付けたい食材です。

食材100gあたりのカリウム含有量は以下の通りです。普段、口にする食材にどれくらいカリウムが含まれているのか把握しておきましょう。

<野菜類>

切り干し大根 3,500mg

ドライトマト 3,200mg

ニンジン 630mg

<果物類>

ドライバナナ 1,300mg

干し柿 670mg

リンゴ 110mg

<海藻類>

乾燥わかめ 5,200mg

焼き海苔 2,400mg

<肉類>

鶏肉 360mg

牛肉 290mg

豚肉 250mg

 

<魚類>

かんぱち 490mg

さば 420mg

さんま 190mg

3.カリウムの摂りすぎを防ぐ3つのポイント

カリウムの摂りすぎを防ぐには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。具体的な3つのポイントを見ていきましょう。

たんぱく質の摂取を制限する

肉や魚などたんぱく質を含む食品はカリウムが多いため、たんぱく質の摂取を制限する必要があります。特に慢性腎臓病(CKD)の場合、1日に摂取するたんぱく質量は重症度により決まっています。

例えば、軽度~中等度低下のステージ3aなら1日に摂取するたんぱく質量は0.8~1.0g/kgBW/日です。もし身長が170cmなら標準体重は64kgなので、1日51~64gまでのたんぱく質を摂取できることになります。1日に摂取するたんぱく質量を64gに抑えた献立は以下の通りです。

<朝食>

食パン(6枚切り1枚) 5.4g

卵(1個) 6.2g

<昼食>

ご飯(茶碗1杯) 3.75g

納豆(1パック) 8.3g

焼き鮭(1切れ) 15.8g

<夕食>

ご飯(茶碗1杯) 3.75g

絹ごし豆腐(80g) 4.2g

鶏もも肉(100g) 16.6g

一方、中程度~高度低下のステージ3bから末期腎不全のステージ5までは、1日のたんぱく質摂取量を0.6~0.8g/kgBW/日までに抑える必要があります。標準体重が64kgの人なら1日当たりのたんぱく質は38~51gです。上の献立から食パンと納豆を抜けば、たんぱく質量を50.3gに調整することができます。しかし、ただ抜くだけでは必要な栄養素の摂取量が不足するため、調理方法を紹介致します。

カリウムを減らす下処理をする

カリウムは水に溶けやすい性質があるため、食材を茹でる・水に晒すといった下処理も有効です。水に触れる面積を増やすとカリウムが流出しやすくなるので、なるべく細かく切るようにこころがけましょう。

また、茹で汁にはカリウムが溶けだしているので、しっかりと水気を切り、なるべく口に入れないようにすることも効果的です。

カリウムの少ない食品に置き換える

缶詰など、カリウムの少ない加工食品に置き換える方法もあります。

例えば生の果物にはカリウムが多く含まれていますが、シロップに浸かった缶詰ならカリウム量が少なくなっています。ただし、カリウムが溶け出したシロップを飲まないように注意しましょう。

ほかにも、果汁100%ジュースや野菜ジュース、牛乳などもカリウムが多いので、低カリウム飲料に置き換えるとよいでしょう。また、お茶は玉露よりも麦茶やウーロン茶の方がカリウムの量が少ないのでおすすめです。

4.カリウムの摂りすぎ対策に低たんぱく食を選ぼう

カリウムの摂りすぎを防ぐにはたんぱく質制限が基本ですが、たんぱく質量を計算しながら食事を用意するのは大変です。また、外食や中食時はメニューに成分表示が記載されていない場合もあるので、安心して食べられないこともあるのではないでしょうか。

そこで、管理栄養士の監修により、たんぱく質やカリウム量が調整された宅配弁当が注目されています。例えば、タイヘイの宅配弁当「たんぱく調整食」は1食あたりのたんぱく質が10g以下、カリウムが500mg以下、塩分相当量も2.0g以下に抑えられているので、3食食べたとしてもカリウム制限値内におさまります。

お弁当は主菜1品と副菜3品でバランスが取れた献立で、冷凍タイプなので電子レンジで温めるだけ。安心して食べられる冷凍弁当をストックしておけば、食事の用意が面倒な時でもすぐに食事をとれるメリットがあります。

タイヘイの「たんぱく調整食」の詳細はこちらをチェックしてください。

5.まとめ

血中のカリウム濃度が5.5mEq/L以上になると高カリウム血症と診断されます。普段の食生活でカリウムを過剰摂取することは少ないといわれますが、腎機能が低下している場合カリウムの排出機能も低下しているため、1日1,500mg以下のカリウム制限を行う必要があります。

カリウム制限を行うには、食材を水に晒す・茹でこぼすといった方法でカリウムの量を減らす、缶詰などカリウムが少なめの食品に置き換えるといった方法があります。また、食材に含まれるカリウムはたんぱく質の量と比例するため、肉や魚といったたんぱく質を豊富に含む食品の制限を行うこともポイントです。

毎食ごとにカリウムとたんぱく質量を計算するのは大変なので、手軽に制限に取り組みたい方は管理栄養士により調整された専用の宅配弁当を選ぶのも手です。

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