2020.08.10

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味覚が変わった!?味が薄くもしくは濃く感じ始めた時の対策

味覚が変わった!?味が薄くもしくは濃く感じ始めた時の対策

「なんだか最近、料理の味が薄く感じる…」「以前はおいしかったものが、塩辛く感じるようになった」

このように、味覚の変化を感じ始めた時、それは単なる気のせいではないかもしれません。特に、誰にでも起こりうる加齢による味覚の変化は、日々の食事の満足度を下げてしまうだけでなく、健康にも影響を与える可能性があります。

この記事では、味が薄く感じ始めた時、あるいは濃く感じ始めた時の原因と具体的な対策について、より詳しく解説していきます。

1. 味覚変化の原因はさまざま

私たちの味覚は、舌の表面にある小さな器官「味蕾(みらい)」で感じています。味蕾には、甘味、酸味、苦味、塩味、うま味といった基本的な味を感じる細胞が存在します。

味覚の種類 特徴
甘味
砂糖、果物などに含まれる
酸味
酢、レモンなどに含まれる
苦味
コーヒー、山菜などに含まれる
塩味
塩、醤油などに含まれる
うま味
昆布、かつお節、きのこなどに含まれる(アミノ酸、核酸など)

加齢とともに味蕾の数は減少し、味を感じる機能も低下していくことがわかっています。特に、塩味の感度低下は自覚しやすく、今までと同じ量の調味料では味が薄く感じてしまい、ついつい塩分を足してしまう原因になります。もし、以前よりも調味料の量が増えたと感じるなら、塩味だけでなく、他の味覚も減退している可能性があるでしょう。

しかし、味覚の変化は加齢だけが原因ではありません。味が薄く感じる場合もあれば、逆に濃く感じてしまう場合もあり、その背景には様々な要因が潜んでいます。一般的には、若い頃に比べて味の好みが変わったと感じる中高年の方の多くは、濃い味から薄い味、あっさりとした味へと変化することが多いとされています。

原因 具体的な要因
口腔内の状態
口腔内の乾燥(ドライマウス)、口内炎、歯周病などの炎症
栄養素の不足
亜鉛不足 、ビタミンB群の不足
疾患・治療の影響
 感染症 、糖尿病 、腎臓病 、貧血 、抗がん剤、放射線治療、降圧剤、利尿剤などの薬剤の副作用
生活習慣
喫煙、過度な飲酒 、ストレス 、極端なダイエット
その他 ホルモンバランスの変化(妊娠など)、神経系の異常

2.味覚が変化した時の対策

味覚の変化は加齢だけではないため、変わったかもしれないと感じたタイミングで、加齢以外の味覚変化の原因を解消していくことが大切になってくる。

2-1.口の中の乾燥を防ぐ

口腔内の唾液は、食べ物を分解して味を感じやすくするだけでなく、口の中を潤し、細菌の繁殖を抑える役割も担っています。唾液量が減少して口の中が乾燥すると、食べ物の味がぼやけて感じにくくなってしまいます。

  • 鼻呼吸を心がける: 口呼吸は口の中を乾燥させる原因になります。意識して鼻で呼吸するようにしましょう。
  • こまめな水分補給: 水やお茶などをこまめに飲むことで、口の中の潤いを保ちましょう。
  • ガムや飴を利用する: 咀嚼によって唾液の分泌が促されます。シュガーレスのガムや飴などを利用するのも有効です。
  • 注意したい症状: 口の中がねばつく、食べ物が飲み込みにくいといった症状がある場合は、ドライマウスの可能性も考えられます。

2-2.口の中を清潔にする

舌の表面に付着する白い苔のようなもの「舌苔(ぜったい)」は、味蕾の機能を妨げ、味を感じにくくする原因の一つです。また、舌苔は口臭の原因にもなるため、日頃から口腔内を清潔に保つことが重要です。

  • 歯磨きに加えて舌の清掃を: 柔らかい舌ブラシや歯ブラシで、奥から手前に優しく舌を磨きましょう。
  • マウスウォッシュの利用: マウスウォッシュは、口腔内の細菌を除去し、清潔な状態を保つのに役立ちます。
  • 胃の調子にも注意: 胃の調子が悪いと舌苔が付着しやすくなることがあります。食生活の改善や消化の良い食事を心がけましょう。

2-3.亜鉛を摂る

亜鉛は、味蕾細胞の生成や味覚機能の維持に不可欠なミネラルです。食生活の乱れや偏食、加工食品中心の食事などによって亜鉛が不足すると、味覚障害を引き起こす可能性があります。また、亜鉛不足はストレスや不眠の原因にも繋がることがあります。

  • 亜鉛が豊富な食品を意識的に摂取: 牡蠣、赤身の牛肉、豚レバー、大豆製品、ナッツ類、種実類などに多く含まれています。
  • バランスの取れた食事を基本に: まずは、主食、主菜、副菜をバランスよく摂ることを心がけましょう。
  • サプリメントの利用は医師や管理栄養士に相談: 必要に応じて亜鉛のサプリメントを検討する際は、必ず専門家のアドバイスを受けましょう。

Q&A 亜鉛はどうゆうものなの?

亜鉛は、味覚を正常に保つ、皮膚や粘膜の健康維持を助ける、たんぱく質・核酸の代謝に関与するなど、体内で重要な役割を果たす必須ミネラルです。食事からの摂取が不足すると、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

日本人の食事摂取基準(2020年版)における亜鉛の推奨量は、以下の通りです(単位:mg/日)。

年齢 (歳) 男性 女性 妊婦(付加量)
18-29 11 8 +2
30-49 11 8 +2
50-64 11 8 +2
65-74 10 8 +2
75以上 10 8

日本人の亜鉛摂取状況

2019年(令和元年)の国民健康・栄養調査によると、日本人の亜鉛平均摂取量は、男性で9.2mg/日、女性で7.7mg/日と報告されています。この結果から、特に男性は推奨量に達していない傾向が見られます。また、妊娠中・授乳中の女性は、推奨量に対して摂取量が著しく少ないことが指摘されています。

亜鉛欠乏症とその症状

亜鉛が不足すると、以下のような様々な症状が現れることがあります。

・皮膚炎、脱毛、爪の変形
・味覚障害(味が分かりにくいなど)
・口内炎
・食欲不振
・貧血
・免疫機能の低下(感染症にかかりやすい)

亜鉛を多く含む食品

亜鉛は様々な食品に含まれていますが、特に含有量が多い食品としては以下のようなものがあります。

・魚介類: 牡蠣、煮干し、するめ、カニ
・肉類: 赤身の牛肉、豚レバー
・種実類: かぼちゃの種、ごま、松の実
・豆類: 大豆、納豆
・乳製品: チーズ
・穀類: 玄米、小麦胚芽

サプリメントの利用

食事からの摂取が難しい場合は、亜鉛サプリメントも選択肢の一つとなりますが、過剰摂取による副作用のリスクもあるため、必ず医師や管理栄養士に相談してから利用するようにしましょう。亜鉛の過剰摂取は、銅の吸収を阻害する可能性があります。
味覚の変化など、亜鉛不足が疑われる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と指導を受けることが大切です。

3.味が薄く感じた時の注意点

味が薄く感じると、無意識のうちに醤油やソースなどの調味料をたくさん使ってしまいがちです。これは、塩分摂取量の増加に繋がり、高血圧や生活習慣病のリスクを高める可能性があります。

  • 調味料の量を意識する: 普段使用する調味料の量を把握し、増えていないか注意しましょう。計量スプーンなどを活用するのも有効です。
  • 風味を活かす調理法を取り入れる: 出汁をしっかり取る、香味野菜やハーブ、スパイスを活用するなど、塩分に頼らずに風味豊かに仕上げる調理法を試してみましょう。
  • 酸味や香りをプラスする: レモン汁、酢、柑橘類の皮、香味野菜などを加えることで、薄味でも味にメリハリが出ます。
  • 素材本来の味を楽しむ: 新鮮な旬の食材は、素材そのものが持つ豊かな風味があります。素材の味を活かすシンプルな調理法もおすすめです。
原因 具体的な要因
調味料の使用量を意識
普段使用する調味料の量を把握する(計量スプーン、計量カップを活用)、食卓に調味料を置かない
風味を活かす調理法
出汁(昆布、かつお、きのこなど)を丁寧にひく、 香味野菜(ニンニク、生姜、ネギなど)を積極的に活用、 ハーブやスパイスを活用
酸味や香りを効果的に使う
レモン汁、酢、柑橘類の皮を加える、香味野菜(ミョウガ、大葉など)を加える
素材本来の味を楽しむ
新鮮な旬の食材を選ぶ、 素材の味を活かすシンプルな調理法(蒸す、焼くなど)を試す
減塩調味料を活用
 減塩醤油、減塩味噌、減塩だしなどを利用する

4.味が濃く感じた時は専門医に相談

特定の味が異常に強く感じる「味覚過敏」は、食事の楽しみを損なうだけでなく、背景に病気が潜んでいる可能性もあります。自己判断せずに専門医(主に耳鼻咽喉科、味覚外来)に相談しましょう。

専門医への相談が重要な理由

  • 原因特定: 様々な疾患や生理的変化が原因の場合があります。
  • 合併症発見: 他の病気の初期症状である可能性も。
  • 適切な治療・アドバイス: 専門的な指導を受けることが重要です。
  • 心理的サポート: 食事を楽しめないことによるストレスへのケアも。

受診の目安

  • 特定の味が以前より強く感じる
  • 以前美味しかったものが、塩辛すぎる、苦すぎるなど感じる
  • 食感に過敏になり、特定の食品を避ける
  • 味覚の変化で食欲不振や体重減少がある
  • 味覚の変化が長期間続く
  • 自己対策で改善しない

門医に相談するまでの間の対策

  • マスク着用: 外からの刺激を和らげる。
  • 好きな香りを嗅ぐ: 気分転換で過敏な意識をそらす。
  • 苦手な食べ物は避ける: ストレスを減らす。
  • レシピ通りの味付け: 過度な刺激を避ける。
  • 温度に注意: 熱すぎ・冷たすぎは刺激になる可能性。
  • 薄味を心がける: 刺激を軽減。
  • 刺激の少ない食品を選ぶ: 香辛料や強い味付けは避ける。
  • 記録をつける: 症状を把握し、医師に伝えやすくする。

これらの対策は一時的なものです。症状が改善しない、または悪化する場合は、ためらわずに専門医を受診してください。

5.まとめ

味覚は、加齢とともに変化する。今までと同じような食事をとっていても、味付けが薄く感じたり、濃く感じたりするなどの症状が出ることがある。
味覚の変化は、調味料の使用量を増やし、高血圧や肥満の原因となる可能性がある。
そのため、味覚が変わったと感じたら、口の中の乾燥を防ぎ、清潔にするなど、加齢以外の味覚変化の原因を解消するよう心がけたい。
味が濃く感じた時は、味覚過敏の恐れがあるため専門医を受診するようにしたい。

また、塩分を気にして、毎食ごとに塩分を計算したり、薄味でもおいしい食事を作ったりするのは大変である。最初から塩分量が調整された宅配弁当を選んでみてはいかがだろうか。
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冷凍タイプなので冷凍庫で長期保存でき、電子レンジで温めればできたての美味しさが味わえる。
調味料を工夫したい方は、塩分を約25%カットした低塩蔵出し熟成丸大豆しょうゆ(200ml)もおすすめである。

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