2025.12.19

高血圧対策

血糖対策

健康食

カリウムと血圧の関係を徹底解説!高血圧予防に役立つ食品と摂取のコツ

カリウムと血圧の関係を徹底解説!高血圧予防に役立つ食品と摂取のコツ

高血圧は自覚症状が出にくく、「サイレントキラー」と呼ばれることもある病気です。実は日本人の約3人に1人が高血圧といわれており、身近な健康課題のひとつになっています。

この高血圧予防に欠かせない栄養素として注目されているのが「カリウム」です。カリウムには、体内の余分なナトリウムの排出を助け、血圧管理に役立つ働きがあります。しかし、現代の食生活では多くの人がカリウム不足に陥っているのが現状です。

本記事では、カリウムと血圧の関係について基本的なメカニズムから実践的な摂取方法まで、わかりやすく解説していきます。

1.カリウムと血圧の関係とは?基本的なメカニズムを理解しよう

日本人の3人に1人が抱えるといわれる高血圧。その背景には、塩分の過剰摂取や運動不足、ストレスなど複数の要因が絡み合っています。こうした状況の中で、カリウムが血圧管理に重要な役割を果たすことが明らかになってきました。

カリウムが血圧管理に役立つ理由として、主に2つの働きがあります。
1つ目は、腎臓でのナトリウム排出促進です。私たちが塩分を摂取すると、体内のナトリウム濃度が上昇し、それを薄めるために血液中の水分量が増加します。その結果、血管壁にかかる圧力が高まり、血圧が上昇するのです。カリウムは腎臓でのナトリウム排出を促し、尿として体外に出す働きを助けます。

2つ目は、血管拡張作用です。カリウムは血管の平滑筋に働きかけ、血管を柔らかくしなやかに保つ効果があります。血管が拡張すると血液の流れがスムーズになり、血圧の上昇を抑えるのに役立ちます。

では、私たちはどれくらいのカリウムを摂取すればよいのでしょうか。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人男性は1日3,000mg以上、成人女性は2,600mg以上の摂取が目標量として示されています。しかし、実際の日本人の平均摂取量はこの目標値に達していないとされています。※厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

カリウム摂取のポイントとして、以下の点を意識してみましょう。

  •  野菜や果物を毎食取り入れる
  •  加工食品より新鮮な食材を選ぶ
  • 調理方法を工夫してカリウムの損失を防ぐ(例:茹でるより蒸す、生のまま食べるなど)

ただし、腎機能が低下している方は注意が必要です。腎臓の働きが弱まると、カリウムを体外に排出する能力が低下し、血液中のカリウム濃度が高くなる「高カリウム血症」を引き起こす可能性があります。定期的な健康診断で腎機能の状態を確認し、必要に応じて医師に相談しましょう。

2.カリウムを多く含む食品と血圧改善への実践法

カリウムの重要性を理解したら、次は実際にどのような食品から摂取できるのか、そして日常生活でどう取り入れていくかが重要になります。ここでは、カリウムを豊富に含む具体的な食品と、毎日の食事で無理なく実践できる摂取のコツをご紹介します。

カリウムが豊富な食品リスト

カリウムは植物性食品に豊富に含まれています。植物は土壌からカリウムを吸収して成長するため、野菜や果物、豆類などには自然と多くのカリウムが蓄えられているのです。ここでは、分類別に具体的な食品と含有量をご紹介します。

分類 食品名 カリウム含有量 特徴・備考
果物類 アボカド 720mg 果物の中でトップクラスの含有量
バナナ 360mg 手軽にエネルギー補給も可能
メロン 350mg デザートに最適
野菜類 ほうれん草 690mg 緑黄色野菜の代表格
小松菜 500mg 茹でても栄養が残りやすい
春菊 460mg 香り成分も豊富
いも類 里芋 640mg いも類の中で特に豊富
さつまいも 470mg 食物繊維も一緒に摂れる
じゃがいも 410mg 主食の代わりにもなる
豆類 納豆 660mg 発酵食品として健康効果大
枝豆 490mg おつまみや副菜に便利
魚類 鰹(かつお) 430mg 高たんぱく・低脂質
鯖(さば) 350mg オメガ3脂肪酸も豊富

ここで重要なポイントがあります。カリウムは水溶性のため、茹でたり水にさらしたりすると一部が流れ出やすい性質があります。そのため、調理法の工夫が大切になります。生で食べられるものは生のまま、加熱する場合は蒸したり炒めたりする方法がおすすめです。

また、スープや味噌汁にすれば、汁に溶け出したカリウムも一緒に摂取できます。これらの食品を毎日の食事に上手に組み合わせることで、自然とカリウム摂取量が増えていくでしょう。

日常生活で実践できるカリウム摂取のコツ

カリウムを効果的に摂取するには、朝・昼・夕の食事ごとに工夫を取り入れることが重要です。ここでは、時間帯別に具体的な実践方法をご紹介します。

朝食での工夫

朝は時間がない方も多いですが、だからこそ手軽な方法が効果的です。バナナやキウイをヨーグルトに添えるだけで、朝のカリウム補給ができます。また、小松菜やほうれん草、果物を使った野菜スムージーなら、忙しい朝でも短時間で準備でき、複数の食材からカリウムを摂取できます。

昼食での工夫

 

外食やお弁当が中心になりがちな昼食では、小鉢を追加する習慣をつけましょう。ほうれん草のおひたしや海藻サラダといった副菜を一品加えるだけで、カリウム摂取量が大きく変わります。コンビニやスーパーでお弁当を買う際も、野菜の入った味噌汁やトマトジュースをプラスすることを意識してみてください。

夕食での工夫

夕食は1日の中で最もバランスよく栄養を摂れる機会です。主菜には鯖や鮭などのカリウムが豊富な魚を選び、副菜としてさつまいもや里芋を使った煮物、納豆や豆腐料理を添えましょう。味噌汁やスープには、ごぼうや大根などの根菜類、しめじやえのきといったきのこ類をたっぷり入れることで、汁ごとカリウムを無駄なく摂取できます。

3.カリウムと血圧に関するよくある質問Q&A

カリウムと血圧について多くの人が疑問に思うポイントをQ&A形式で整理しました。

Q.カリウムを摂取すればすぐに血圧は下がりますか?

A.カリウムの血圧降下作用に即効性はありません。継続的に適切な量を摂取することで、個人差はありますが、数週間から数ヶ月かけて徐々に変化が見られることがあります。長期的な視点で食生活を改善することが大切です。

Q.カリウムサプリメントを飲めば食事は気にしなくてよいですか?

A.サプリメントだけに頼らず、基本は食事から摂ることを意識しましょう。食品から摂取するカリウムは他の栄養素とバランスよく含まれており、体内での吸収も良好です。また、腎機能に問題がある方がサプリメントで過剰摂取すると高カリウム血症のリスクがあります。基本は食事からの摂取を心がけましょう。

Q.腎臓が悪いとカリウムを控えるべきと聞きましたが本当ですか?

A.はい、腎機能が低下している場合、カリウムの排出能力が低下するため、過剰摂取は危険です。慢性腎臓病の方は医師の指導のもと、カリウム制限が必要になることがあります。自己判断せず、必ず医療機関で相談しましょう。

Q.子供や高齢者もカリウムを意識して摂取すべきですか?

A.成長期の子供にとってもカリウムは重要なミネラルですが、バランスの良い食事を心がければ十分です。高齢者は加齢により腎機能が低下している場合もあるため、定期的な健康診断で腎機能をチェックしながら、適切な摂取を心がけることが重要です。

4.血圧管理に役立つ、カリウムを豊富に含むレシピを紹介

きのこたっぷり!さつまいものポタージュスープ

さつまいもの自然な甘みと、きのこの豊かな風味を活かすことで、塩分を抑えてもおいしく満足感の高いスープです。カリウムは汁に溶け出す性質があるため、「汁ごと」摂取できるポタージュは理想的な調理法です。

材料(2人分)

原材料名

備考

さつまいも

150グラム

皮をむき、薄切りにする

玉ねぎ

1/4

薄切りにする

きのこ類

50グラム

しめじ、まいたけなどお好みで(小房に分ける)

牛乳または豆乳

200ml

 

100ml

 

コンソメ(顆粒)

小さじ1/2

減塩対策で通常より少なめ

バターまたはオリーブオイル

小さじ1

 

こしょう

少々

風味付け

作り方(所要時間:約20分)

1.鍋にバター(またはオリーブオイル)を入れ、玉ねぎとさつまいもを炒めます。玉ねぎが透き通るまで、弱火でじっくり炒めることで甘みが増します。

2.煮込む:水を加え、さつまいもが柔らかくなるまで煮ます(約10分)。

3.きのこ類を加え、しんなりするまでさらに数分煮ます。

4.火を止め、鍋の中身をミキサーまたはフードプロセッサーに移してなめらかになるまで攪拌(かくはん)します。

5.鍋に戻し、牛乳(または豆乳)とコンソメを加えて温めます。フツフツと温まる直前で火を止め、器に盛り付け、こしょうを振って完成。

血圧管理へのメリットと工夫

①カリウムの効率的な摂取

・さつまいもはカリウムが豊富です(100gあたり約470mg)。

・きのこ類もカリウム源であり、これらを汁ごとポタージュにすることで、水に溶け出したカリウムを無駄なく摂取できます。

②減塩の工夫

・味付けのベースとなるコンソメを控えめにし、さつまいもの自然な甘さときのこや玉ねぎの旨味を最大限に引き出すことで、塩分を抑えても満足感があります。

③食物繊維が豊富

さつまいもやきのこには食物繊維も多く、整腸作用に加え、コレステロールの低下など、血圧以外の生活習慣病対策にも役立ちます。

アレンジのヒント

  • 風味アップ:仕上げに粉チーズを少量加えると、コクが出てさらに美味しくなります。ただし、塩分が増えるため使用量には注意が必要。
  • とろみ付け:さつまいもの量を増やせば、より自然なとろみがつき、小麦粉や生クリームを使わずに濃厚な仕上がりになります。

5.忙しい毎日でもカリウム摂取を続けるための工夫とサポート

仕事や家事に追われる毎日の中で、毎食きちんと栄養バランスを考えた食事を準備するのは簡単なことではありません。しかし、カリウム摂取を続けるためには、完璧を目指すのではなく、無理なく続けられる工夫を取り入れることが大切です。

時短調理のテクニック

週末などの時間がある時に、野菜をまとめて洗って切り、小分けにして冷凍保存しておくと便利です。ほうれん草や小松菜などの葉物野菜は、茹でてから冷凍すれば、必要な時にすぐに使えます。また、市販のカット野菜や冷凍野菜を上手に活用することで、調理時間を大幅に短縮できます。冷凍野菜は収穫後すぐに冷凍されているため、栄養価も十分に保たれています。

電子レンジや圧力鍋を活用するのも効果的です。電子レンジで蒸し野菜を作れば、茹でた時のようにカリウムが流出することなく、短時間で調理できます。圧力鍋なら、根菜類や豆類も短時間で柔らかく煮ることができ、栄養素を逃さず調理できます。

忙しい方におすすめの工夫

  • 朝食はバナナとナッツ類で手軽にカリウム補給
  • 昼食は外食でも定食スタイルを選び、小鉢や味噌汁を追加
  • 夕食は冷凍食品を上手に活用し、調理の手間を省く

また、栄養バランスの取れた冷凍弁当を活用するのも賢い選択です。例えば、タイヘイファミリーセットの「ヘルシー御膳」は、管理栄養士が監修した献立で、カリウムをはじめとする栄養素がバランスよく含まれています。冷凍のまま電子レンジで温めるだけで、手軽に栄養のある食事が摂れるため、忙しい日でも安心です。

大切なのは、完璧を目指さないことです。毎日すべての食事で理想的なカリウム摂取を実現しようとすると、かえってストレスになり、続けることが難しくなります。できる範囲で少しずつ取り入れ、長く続けることを心がけましょう。1日の中で1食だけでも意識する、週に数回から始めるなど、自分のペースで無理なく続けることが、結果的に健康な生活習慣につながります。

6.まとめ

カリウムは、血圧管理において欠かせない栄養素です。腎臓でのナトリウム排出を促進し、血管を拡張させる働きによって、高血圧の予防や、日々の血圧管理に役立ちます。成人男性で1日3,000mg以上、成人女性で2,600mg以上の摂取が推奨されていますが、多くの日本人が不足しています。

カリウムは野菜、果物、いも類、豆類、海藻、魚類など、さまざまな食品に含まれています。これらを毎日の食事にバランスよく取り入れることで、自然とカリウム摂取量を増やすことができます。調理方法にも工夫が必要で、水溶性のカリウムを効率よく摂取するには、生で食べる、蒸す、炒める、スープにして汁ごと摂るといった方法が効果的です。

ただし、腎機能が低下している方は、カリウムの過剰摂取に注意が必要です。定期的な健康診断で自分の腎機能を把握し、必要に応じて医師に相談しながら、適切な摂取を心がけましょう。

忙しい日々の中でも、冷凍商品や常備菜、栄養バランスの取れた冷凍弁当などを上手に活用すれば、無理なくカリウム摂取を続けることができます。完璧を目指すのではなく、できる範囲で少しずつ取り入れ、長く続けることが何より大切です。カリウムを意識した食生活を習慣化し、健康的な血圧管理を目指していきましょう。

 監修者プロフィール

 萩原(Hagiwara)

管理栄養士フードスペシャリスト

東京家政学院大学 管理栄養士専攻 卒業後、タイヘイ株式会社で社員食堂・寮向けの献立作成や介護食の開発を担当。本記事を含め、多数の健康コラムを管理栄養士の観点で監修。血圧や血糖値・糖質や塩分の制限などを受けている方や忙しい方が時短・簡単に栄養バランスのとれた食事をご家族に提供できるよう、毎日おいしく健康的な食生活をサポートします。

\健康を気にかけているあなたに!/ タイヘイ管理栄養士監修 たった30秒でできる あなたにおすすめの食事診断