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肉を食べ過ぎると糖尿病リスク上昇 魚を食べるとリスク低下

赤身の牛肉や豚肉や加工肉を食べ過ぎると、糖尿病リスクが上昇することが、アジア人を対象とした大規模調査で判明した。赤身肉を、魚類、大豆、豆類などに置き換えると糖尿病リスクは減少するという。

赤身肉や加工肉を食べ過ぎると糖尿病リスクが上昇

赤身肉やハム・ソーセージなどの加工肉を食べ過ぎている人は、糖尿病の発症リスクが上昇することが、シンガポールで実施された大規模調査で判明した。

研究には、45~74歳の6万3,000人超のシンガポール在住の成人が参加。11年追跡して調査した結果、赤身肉のもっとも多いグループでは、もっとも少ないグループに比べ、糖尿病の発症リスクが23%上昇した。

一方で、赤身肉を魚介類や植物性食品に置き換えると、糖尿病リスクは減少することも判明した。

「赤身肉や加工肉など動物性食品を多く食べる人は、魚類、卵、乳製品、大豆、豆類など食品に置き換えることを考えるべきです」と、デューク・シンガポール国立大学医学部のコー ウン プエイ教授は言う。

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肉に含まれるヘム鉄がβ細胞にダメージをもたらす

赤身肉は、タンパク質、鉄、亜鉛、ビタミンBなどの栄養素の供給源になる。しかし、食べ過ぎると確実に体に害をもたらす。

赤身肉や加工肉などの摂取により糖尿病の発症リスクが上昇する理由は、肉に多く含まれるヘム鉄や飽和脂肪酸、調理の過程で生成される焦げた部分に含まれる糖化最終産物(AGE)などが、インスリン感受性やインスリン分泌に対して悪影響をもたらすからだと考えられている。

とくにヘム鉄は、酸化ストレスや炎症を引き起こし、インスリン感受性を低下させるという報告がある。肉類、特に赤身肉の摂取による糖尿病のリスク上昇が懸念されている。

鉄には強力な酸化作用があり、過剰な鉄が生みだすフリーラジカルを消去する酵素が不足してしまう。ヘム鉄の過剰な摂取は膵臓のインスリンを分泌するβ細胞にダメージを与えると考えられている。

一方で、動物性食品に含まれるヘム鉄に比べ、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は体内への吸収率が遅い。

「食事から肉を完全に取り除く必要はありませんが、毎日の食事で、特に赤身肉の摂取量を減らし、鶏の胸肉と魚介類、または植物性のタンパク質食品や乳製品に置き換えると、糖尿病リスクを下げられる可能性があります」と、コー教授は言う。

良質なタンパク質が豊富に含まれる魚類、豆腐、豆類などを食事に取り入れることで、食事の栄養バランスを改善できるという。

赤身肉には飽和脂肪酸も多く含まれる

今回の研究はアジア人を対象としたものだが、欧米の研究でも、肉を過剰に摂取すると一貫して糖尿病の発症リスクが上昇することが報告されている。

赤身肉の摂取はヒトの健康に有害である可能性が指摘されており、世界保健機構(WHO)も、赤身肉の摂取量とがんリスクが関連する可能性を警告している。

米糖尿病学会(ADA)は糖尿病の患者に対し、野菜の摂取を増やして、全粒粉や精製されていない穀類や豆類、低脂肪の牛乳や乳製品を選ぶことを推奨している。魚も週に2~3回食べることを勧めている。

赤身肉には飽和脂肪酸も多く含まれる。飽和脂肪酸をとりすぎると、悪玉のLDLコレステロールや中性脂肪が増え、心筋梗塞などの心疾患のリスクを高めることが知られている。

ただし、肉の部位によっては脂肪の少ない部位もある。脂肪は、牛肉や豚肉なら「もも肉」「かた肉」「ヒレ肉」で少なく、「ばら肉」や「内臓肉」で多い。鶏肉なら「むね肉」「ささみ」などは脂肪が少ない。

肉の調理法も重要だ。調理法によっては、脂肪を落とすこともできる。テフロン加工のフライパンで調理すれば、油を使わずに焼けるほか、「網で焼く」「ゆでる」「煮る」「蒸す」「スープで煮込む」といった調理をすれば、余分な脂肪を取り除くことができる。

加熱して肉をこんがり焼くと、焼き目がつく。この焼き目やこげ目には、タンパク質が加熱されると増える糖化最終産物(AGE)が多く含まれる。AGEが蓄積すると、糖化ストレスが亢進し、動脈硬化が進みやすくなるので注意が必要だ。

赤身肉を過剰にとると腎臓病リスクも上昇

デューク・シンガポール国立大学医学部の研究チームは別の研究で、牛や豚などの赤身肉などを過剰に摂取すると、腎臓病のリスクが上昇するが、1日1皿分の赤身肉を他のタンパク質が豊富な食品に置き換えることで、リスクを低減できることを確かめている。

慢性腎臓病を発症する人が増えており、世界中では5億人になると推計されている。腎臓病が進行すると腎不全という深刻な病状になり、透析や腎臓移植が必要になる。

シンガポールで行われた研究には、45歳~74歳の男女6万3,000人超が参加。均15.5年間追跡して調査した結果、赤肉、とくに豚肉の摂取量が増えるごとに、腎不全のリスクは上昇することが判明した。

調査では、赤肉の摂取量がもっとも多かった群では、もっとも少なかった群に比べて腎不全のリスクが40%高いことが判明した。

さらに、1日1皿分の赤肉摂取を他のタンパク源に替えるだけで腎不全リスクが低減することも判明した。牛や豚などの赤身肉以外のタンパク源として、鶏肉、魚介類、卵、乳製品、大豆、豆類がある。

「慢性腎臓病(CKD)患者や糖尿病腎症のリスクの高い人は、赤身肉の摂り過ぎを控えて、植物性タンパク質の豊富な食品に置き換えた方が良いことが示唆されました。動物性であれば、魚介類や鶏肉の方が良い選択肢になります」と、コー教授は言う。

赤身肉の代わりに勧められるのは魚類

赤身肉の代わりに勧められる食品は魚類だ。魚の摂取により糖尿病リスクの低下が期待できる。

魚に豊富に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸である「エイコサペンタエン酸」や「ドコサヘキサエン酸」は、循環器疾患に対して予防的に働くことが知られている。糖代謝については、インスリン分泌やインスリン抵抗性が、n-3系脂肪酸の摂取によって改善するという報告がある。

日本で行われた約5万人を対象とした大規模調査でも、男性では魚介類摂取が多いほど糖尿病の発症リスクが低下し、摂取量がもっとも少ない群に比べ最も多い群では糖尿病リスクが3割低下することが確かめられている。

魚介類、特に油の多いアジ、イワシ、サンマ、サバなどの小・中型魚のおよび脂の多い魚を摂取することで、糖尿病リスクは低下するという結果が得られた。これらの魚に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸やビタミンDが、インスリン感受性やインスリン分泌を改善するからだと考えられている。

(2017年10月)

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