2022.06.29

介護食

訪問介護の料理のポイントと段取りよく料理するためのコツを解説

訪問介護の料理のポイントと段取りよく料理するためのコツを解説

訪問介護では、掃除や洗濯だけでなく、料理も支援することがあります。まだ介護業務に慣れていないヘルパーだと、さまざまな業務に追われて段取りよく進められないと悩むこともあるでしょう。また、料理が苦手な方だと、どうやって食事メニューを決めればいいのかわからないケースもあるはずです。

そんな悩みを解消するために、今回は訪問介護で料理をする上でのポイントや、段取りよく料理を進めるコツを解説します。

1.訪問介護での料理とは

訪問介護での料理では、利用者の心身の状況、嗜好、栄養バランスなどを考えつつ、時間内に調理を済ませることが求められます。そのため、具体的に以下のスキルが必要となります。

・利用者の嗜好に応じた料理や味付けができる

・利用者に合った固さや大きさに調整できる

・栄養バランスの優れた食事が提供できる

・利用者に安全な食事が提供できる

・限られた時間内に調理を終えられる

料理が苦手な方からすると、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、要点を押さえて練習していけば、次第に効率よく調理できるようになります。そこで、具体的なポイントを次章から紹介します。

2.訪問介護での料理のポイント

訪問介護で料理を作る場合に、押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

①好みの料理や味付けを把握しておく

利用者の好きな料理や味付けを把握しておくことが、1つ目のポイントです。

いくら栄養バランスが取れていても、好みでない料理は食べてくれない場合もあります。また、好きではないけれど、我慢して食べているというケースも少なくありません。食事を提供する以上、おいしく食べてもらえるように利用者の好みを把握しておくのは必要なことです。

ただ、なかには直接本人から聞きだしにくい場合もあるでしょう。その際は、家族に利用者本人の嗜好や気をつけるポイントを聞くのがおすすめです。その他にも、持病などで控えたほうがいい食材はないか確認するのも大切です。

②食材の固さや大きさに注意する

2つ目のポイントは、食べやすいように食材の固さや大きさに配慮して調理をすることです。

利用者の噛む力や飲み込む力が低下していると、固いものや大きいものが食べづらくなっている可能性があります。その場合は、歯茎でもつぶせるくらい柔らかく調理したり、一口大にカットしたりと、食べやすくする調整が必要になります。

ただし、食べやすいように工夫していると、工程が増えるぶん調理時間が足りなくなる恐れがあります。その際は、品数を減らしたり、ほかの業務を簡単に済ませたりするなどして、時間を調整しましょう。

介護食の作り方について詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。

【介護食の作り方】簡単に作れる介護食を区分別に紹介

③栄養バランスを意識する

栄養バランスを意識した献立作成が3つ目のポイントです。

高齢者は食欲が低下し、十分に食事を摂れていない可能性があるので、栄養不足が心配されます。そのため訪問介護で料理を作る場合は、主食・主菜・副菜・乳製品・果物の5つがバランスよく含まれるよう献立を工夫して考えましょう。

なお、高齢者の低栄養に関する対策方法やレシピについては、こちらの記事がおすすめです。

高齢者に低栄養が多いのはなぜ?原因と対策方法やレシピも紹介

④衛生管理を徹底する

4つ目は衛生管理を徹底することです。

ヘルパーが作った食事で食中毒を起こすのは禁物です。事前に食器や調理器具が汚れていないか確認し、場合によっては一度洗ったり消毒をしたりしてから、調理をはじめましょう。また、ヘルパー自身に手荒れや手指の傷がある場合は、食中毒予防のために手袋をつけて調理するようおすすめします。

料理も、衛生管理の難しい刺身やサラダといった生ものは避け、火を通す料理を中心に提供しましょう。調理中は、具材の中心温度を75℃以上で1分以上加熱するよう徹底すると、より安全な料理が作れます。

⑤調理中の会話は相槌程度にする

調理中の会話を相槌程度に控えるのが、5つ目のポイントです。

利用者の中には、ヘルパーとおしゃべりをしたい方も多くいます。しかし、ヘルパーは料理以外にも洗濯や掃除などをこなさなければならないので、会話に時間をかけすぎると業務が終わりません。

会話で手が止まってしまう方は、調理中は相槌程度に留めて、なるべく集中力を切らさないようにしましょう。作業中は相槌で済ます代わりに、あらかじめ利用者とじっくり会話をする時間を5~10分程度設けるのもおすすめです。

3.段取りよく料理するためのコツを紹介

訪問先で時間内に料理を終わらせるには、段取りよく進めなければなりません。ここでは、テキパキ料理するための、5つのコツを紹介します。

①まずは食材や調味料をチェックする

1つ目のコツは、食材や調味料などをチェックからはじめることです。

ヘルパーが調理支援をする場合、基本的に訪問先の家にある調味料や食材で対応しなければなりません。各家庭によって常備してある食材や調味料は異なるので、まずは何があるのかチェックしましょう。その際、調理器具も同時に確認をしておくと安心です。

また、はじめて訪問する家庭の場合、すべての食材と調味料を調理台に並べておくと、献立が考えやすくなります。

②終了時間を決める

2つ目のコツは、調理の終了時間を決めることです。

ヘルパーは料理以外の介護業務もあるので、調理を何時までに終えるのか、時間を決めておくことが大切です。調理終了時間から逆算をして、工程を考えながら料理を進めましょう。

献立を考えるのに時間がかかる方は、まず食材を確認して主菜を決めるのがおすすめです。それを軸に、副菜や汁物を考えると献立を決めやすくなります。

③食材は先にまとめて切る

3つ目は、食材を先にまとめて切っておくことです。

料理を一品作るごとに都度食材を切っていると、効率が悪くなる場合があります。また、何度も包丁を洗うのも手間です。

献立が決まったら、具材は一斉に切ってしまいましょう。また、野菜や果物類を切ったあと、肉や魚を切るようにすると、包丁やまな板を洗う回数も減らせます。

④食材を切ったらこまめに移す

食材を切ったらこまめに移すのが、4つ目のコツです。

調理スペースの整理整頓をおこないながら調理を進めることで、調理全体の工程がスムーズになります。食材はまとめて切ったら、まな板の上が乱雑にならないように、具材を別の器に移動させます。

このとき、食材が入っていたパックに戻すと、洗い物が減らせます。

⑤加熱時間に他の調理を進める

加熱時間に他の調理を進めるのが、5つ目のコツです。

ゆでたり煮込んだりする料理は時間がかかるので、最初に着手し、加熱している間に他の料理を進めましょう。

また、電子レンジを利用するのもおすすめです。電子レンジはコンロよりも短時間で調理ができるうえに、火を使わないので加熱中でも他の家事ができます。ただし、コンロに火がついている場合は他の介護業務をおこなわず、料理に専念しましょう。

4.まとめ

訪問介護で作る料理は、栄養バランスが整っているとともに、利用者が食べやすいやわらかさや好きな味付けに工夫した料理を作ることが求められます。また、他の介護業務との兼ね合いを計算し、時間を逆算しながら作る必要もあります。

段取りよく調理を進めるためには、調理前に訪問先の食材や調味料などを確認し、食材をまとめて切ったり、まな板の上をこまめに整理整頓したり、加熱時間を利用してほかの料理を作ったりする工夫が欠かせません。

また、利用者との会話で手が止まってしまう場合は、あらかじめじっくりと話す時間を設け、それ以外では相槌程度に留めると料理に専念しやすくなるでしょう。

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